POMの耐熱温度とは?連続使用限界・変形リスク・設計時の注意点を完全解説

POM(ポリアセタール)とはどのような樹脂か
POMは結晶性を持つ熱可塑性樹脂で、正式名称はポリアセタール(Polyoxymethylene)です。金属代替材料として用いられることが多く、特に精密機構部品や摺動部で高い評価を得ています。
- 高い機械強度と剛性
- 優れた耐摩耗性・自己潤滑性
- 吸水率が低く寸法安定性が高い
一方で、耐熱性についてはスーパーエンプラほど高くなく、使用温度の見極めが重要です。POMの基本特性や他樹脂との違いについては、POM樹脂の基本特性に関して解説で詳しく解説しています。
POMの耐熱温度の基準と考え方
POMの耐熱温度を語る際は、「どの耐熱指標を基準にするか」を明確にする必要があります。単に耐熱温度といっても、評価方法は一つではありません。
連続使用温度と短時間耐熱温度
実務で最も重要なのが連続使用温度です。一般的なPOMの目安は以下の通りです。
| 耐熱指標 | 温度目安 | 用途上の意味 |
|---|---|---|
| 連続使用温度 | 約90〜110℃ | 長期使用可能な上限 |
| 短時間耐熱温度 | 120〜140℃程度 | 一時的な高温許容 |
短時間であれば高温に耐えられる場合でも、連続的に熱が加わる環境ではクリープ変形や物性劣化が進行します。
POMの耐熱温度が用途に与える影響
POMの耐熱限界を超えると、外観上は問題がなくても内部では物性低下が進行します。特に以下の点に注意が必要です。
- 寸法精度の悪化
- 摺動部での摩耗促進
- 応力集中部での割れ発生
例えばギアやカムなどの機構部品では、耐熱温度を超えた使用により噛み合い不良や異音が発生するケースがあります。
POMのグレードによる耐熱温度の違い
POMにはホモポリマーとコポリマーが存在し、耐熱性や耐久性に差があります。
| 種類 | 耐熱性 | 特徴 |
|---|---|---|
| ホモPOM | やや高い | 高強度・高剛性 |
| コポリマーPOM | 安定重視 | 耐熱劣化・耐薬品性向上 |
さらに、ガラス繊維強化POMや耐熱改良グレードでは、耐熱変形温度が向上する場合もあります。ただし、加工性やコストとのバランスが重要です。
POM使用時に耐熱温度で失敗しないための注意点
POMの耐熱温度を正しく扱うためには、以下の視点が欠かせません。
- 連続使用温度を基準に設計する
- 荷重・応力条件を同時に考慮する
- 周囲環境(放熱・密閉)を確認する
特に「温度×時間×応力」の組み合わせによって劣化速度は大きく変わります。単純に耐熱温度の数値だけで判断するのは危険です。
よくある質問
まとめ:POMの耐熱温度を正しく理解することが長寿命設計につながる
POM 耐熱温度は、一般的に連続使用で約90〜110℃が目安ですが、実際の使用環境によって安全域は変動します。耐熱変形温度やカタログ値を鵜呑みにせず、用途・荷重・使用時間を総合的に判断することが重要です。
本記事で解説した考え方を踏まえ、適切な材料選定と設計を行うことで、POMの性能を最大限に引き出すことができます。

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