POM(ポリアセタール)の密度と特性を徹底解説|フライス加工に最適な理由とは

POM(ポリアセタール)の密度と特性を徹底解説|フライス加工に最適な理由とは
自動車部品や産業機械部品に幅広く採用されています。その中でも注目すべきは密度と特性です。
密度が安定していることは設計精度や加工性に直結し、特性を理解することは最適な加工方法や用途選定に欠かせません。
本記事では、POMの密度や特性を深掘りし、さらにフライス加工における活用のポイントまで解説します。
POMとは何か|エンジニアリングプラスチックの代表格
POM(Polyoxymethylene、ポリアセタール)は、結晶性を持つ熱可塑性樹脂の一種で、
機械的強度、寸法安定性、耐摩耗性に優れていることから「エンジニアリングプラスチック」として分類されます。
一般的にはホモポリマー型とコポリマー型の2種類があり、加工用途に応じて使い分けられます。
POMの代表的な用途
- 自動車部品(ギア、ベアリング、燃料系部品)
- 産業機械の摺動部品
- 家電製品の精密部品
- 水回り部品(バルブ、継手)
POMの密度と特性|なぜ製造業で重要なのか
POMの密度はおおよそ1.41 g/cm³前後で、他のプラスチックと比較して高めです。
この密度の高さは、材料内部の結晶性が高いことを示しており、結果として高い機械的強度や
耐摩耗性につながっています。
密度がもたらす実用的な利点
- 加工後の寸法精度が安定しやすい
- 摩耗や変形が少なく、長期間の使用に耐えられる
- 金属の代替材料として利用可能
POMの主要な特性一覧
特性 | 数値・傾向 | 特徴 |
---|---|---|
密度 | 約1.41 g/cm³ | 結晶性が高く、金属に近い強度感 |
引張強度 | 60〜70 MPa | 耐荷重性に優れる |
耐摩耗性 | 非常に高い | 摺動部品に適する |
吸水率 | 0.2%以下 | 寸法安定性が高い |
これらの数値は、JIS規格やメーカーの技術資料に基づいた標準的な範囲であり、
信頼性のあるデータとして活用できます。例えば、
JIS(日本産業規格)では、
樹脂材料の物性値が明確に定義されており、エンジニアが設計時に参照する重要な基準となっています。
POMと他素材の比較
製造業では、POMを選択するかどうかは他の材料との比較検討が欠かせません。
代表的な樹脂であるPOM・MCナイロン・PBTを比較すると以下の特徴があります。
材料 | 密度 | 強度 | 耐摩耗性 | 吸水率 |
---|---|---|---|---|
POM | 1.41 g/cm³ | 高い | 非常に高い | 低い |
MCナイロン | 1.15 g/cm³ | 高い | 高い | 高め |
PBT | 1.31 g/cm³ | 中程度 | 中程度 | 低い |
この比較からわかるように、POMは総合的なバランスに優れた樹脂であり、
金属代替の軽量部品や摩擦の多い摺動部品に適していることが明らかです。
POMのフライス加工における特徴
POMは加工性が高く、特にフライス加工に適しています。
金属と異なり、切削抵抗が低く工具摩耗も少ないため、効率的に加工できるのが特徴です。
フライス加工でのポイント
- 切削速度は高めでも対応可能
- 切削粉が絡みにくく、排出性に優れる
- 工具摩耗が少なく、長時間の安定加工が可能
実際の加工事例
例えば、自動車用ギアの試作にPOMを用いたフライス加工では、金属よりも短時間で成形でき、
コスト削減と軽量化の両立が実現しました。これにより、量産前の試作や評価工程において、
高い需要があります。
よくある質問
Q. POMの密度は他の樹脂と比べてどのような特徴がありますか?
Q. POMはどのような用途に適していますか?
Q. POMのフライス加工にはどのような利点がありますか?
まとめ|POMの密度と特性を理解して最適な加工を実現する
POMは1.41 g/cm³の密度を持ち、耐摩耗性や寸法安定性に優れた特性を兼ね備えています。
他の樹脂と比較してバランスが良く、フライス加工に適しているため、製造現場で非常に活用しやすい材料です。
設計段階からその特性を理解して選定することで、効率的で高精度な製品開発につながります。
より詳細な樹脂材料の加工事例については、
MCナイロン加工の特性解説
で詳しく紹介しています。